肺がん検診肺がんというと、喫煙習慣のある人がかかりやすいイメージがあり、タバコを吸わない人にとっては関係ないがんだと思いがちです。

しかし、家族や職場でタバコを吸う人が周りにいる場合、肺がんに罹ってしまう確率はグンと高くなります。

近年、女性の肺がんが増えてきています。
20歳代から30歳代の喫煙率が年々増えてきている影響もありますが、女性は男性に比べてたばこの害を受けやすく、喫煙習慣がなくても受動喫煙により肺がんを発症させやすいというレポートもあります。

肺がんの中でも腺がんは女性の肺がんの70%を占め、その原因は受動喫煙と関連が示唆されています。

肺がんは治りにくいがんのひとつです。
しかし早期発見・治療をすれば効果はあがります。新しい治療法も開発されています。

ここでは肺がんとはどういうがんなのか?肺がん検診の流れやどういう検査をするのか?などくわしく解説していきます。

この記事の監修
医療法人花仁会 秩父病院 医学博士外科部長
大野 哲郎 先生

 

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肺がんは男性の死因第一位。転移再発しやすいがん

肺がんとは、肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞がなんらかの原因でがん化したもので、進行するにつれてまわりの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって広がっていきます。

肺がんの発生場所

肺がん 発生場所

肺がんは大きく小細胞がんと非小細胞がんのふたつに分かれます。
さらに、非小細胞がんは腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどに分類されます。
肺がんの中でも非小細胞がんは肺がんの約85%を占めます。

この中でも一番多いのは腺がんです。女性の肺がんの約70%は腺がんで、受動喫煙の関連が示唆されています。
とくに、喫煙歴のない女性に増えています。

次に多いのが扁平上皮がんです。

喫煙者に多くみられ、喫煙との関連が大きいといわれています。
主に男性に多く、男性の肺がんのうち約40%を占めています。

小細胞がんは、肺がんの約15%を占めます。
がんの増殖スピードは速く、発見時にはすでに転移していることも多いのが特徴です。

肺がんの罹患率は、男性では胃、大腸に次いで3位、女性は第5位となっており、
一生涯で肺がんになる人は、男性では10人に1人、女性では21人に1人となっています。

男性の肺がんによって亡くなる人の数は、平成5年以降がんの中でも最も高く、ここ数十年で大幅に増えています。

悪性新生物の主な部位別死亡率の推移

悪性新生物(がん)の主な部位別死亡率の年次推移・男性(1965年-2014年)

参照:平成26年 厚生労働省 人口動態統計月報年計の概況 より (人口10万対)

平成26年では肺がんで亡くなった人の数は、男性は52493人、女性は20880人にのぼります。
がんの中でも男性の死因第一位、女性の死因第2位となっており、肺がんはがんの中でも死亡リスクが高いがんといえます。

なぜ肺がんは他のがんと比べて死亡リスクが高いのでしょうか?
それは肺がんがほかのがんと比べて、転移再発しやすいがんだからです。

血液は肺を中心に巡回していることもあり、原発巣からがん細胞がはがれて血液に乗り、遠く離れた組織に新たに転移巣をつくります。そしてこの転移巣から血液に乗ってさらに遠くの組織に転移することもあります。(血行性転移)

また、肺の周りにはたくさんのリンパ節があるため、通常原発巣にいちばん近いリンパ節から順に転移をします。(リンパ行性転移)
特殊な例では肺から気道を伝わって、呼吸によって転移することもあります(経気道性転移)

肺がんは病変が小さくても転移する可能性があるため、肺がんと診断された時点で、検査で見落とされるような微細ながんが同じ肺の中や他の臓器に、すでに転移している可能性はあります。

しかし近年では精度の高いCTによる検査方法が開発されて、小さながんも発見されるようになってきていることから検診の効果が上昇してきました。

肺がんは特徴的な自覚症状がないため症状が現れたときには相当進行しているといわれています。
早期発見・早期治療には検診以外に頼るものはありません。

肺がん検診の流れ

肺がん検診の流れ

肺がん検診は、地方自治体による検診の場合、問診と肺X線検査とハイリスクの方は喀痰細胞診も行ないます。
国の指針によると、喀痰細胞診は、50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本数?喫煙年数)が400ないし600以上あるハイリスク群に属する人が対象です。

低線量の胸部CTによる検診は、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分という理由で、対策型検診(自治体などのがん検診)では勧められていません

※ハイリスク群・・・「喫煙指数」が400ないし600以上の場合を指す。
喫煙指数は、「1日に吸うタバコの平均本数」×「喫煙年数」で計算されます。例えば、1日にタバコ20本を30年吸っている場合には喫煙指数が600となり、ハイリスク群に該当します。

自治体がん検診VS人間ドック どっちがいいの?比較表

肺がん検診は格安で受けられる市区町村のがん検診の「対策型検診」と個人で受ける人間ドックの「任意型検診」があります。

「対策型検診」は特定の年代に発症が多く、早期発見による治療が確立しているがんを検診の対象としています。

一方、「任意型検診」は自分で希望するがんの検診をカスタマイズして受けられるのが特徴です。

肺がん検診 自治体がん検診・人間ドック比較表

  自治体がん検診 人間ドック
対象年齢 40歳以上の男女 何歳でも検査可
検査項目 問診、胸部X線検査。喫煙者は喀痰細胞診 問診、胸部X線検査又は胸部単純CT撮影。喀痰細胞診、胸部X線デジタル撮影など。ほとんどの人間ドックのコースには肺の検査も含まれている
受診間隔 1年に1回 特に決まりなし
検査費用 胸部X線検査 527円、胸部X線検査+胸部X線検査 975円(自己負担額。市区町村平均) 12,000~15,000円(肺ドック)
メリット・デメリット 検診料は0~数千円と格安
検査項目が少ないので短時間で済む
× 検査項目が限られている
× 対象年齢にならないと検査が受けられない
× 検査結果が約1か月後と時間がかかる
多彩な検査が行なえる
年齢や回数に制限がない
その日のうちにある程度検査結果がわかる
食生活や運動などアドバイスが受けられる
× 自治体検診と比べ費用が高額

 

自治体がん検診では胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんの5つで、費用は無料の場合もあり圧倒的に安く受けられます。しかし、家系や体質などでがんのリスクが高いと考える場合は、検査項目が豊富な人間ドックで検査するほうが無難です。

 

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肺がん検診の主な検査と費用

肺X線検査(胸部レントゲン)

肺X線検査では自覚症状のない時期に肺や胸膜、胸部臓器の性状をチェックします。
もっとも手軽な検査として集団検診に使用されます。
X線検査のなかでも簡易な部位で、肺の異常を調べる検査としてよく知られています。

肺の末梢部の肺野部にできるがんの発見には有効ですが、気管支や骨、心臓、胸骨、血管などに隠れた肺門部のがんは発見しにくくなります。

肺X線検査の流れ

検査前日

特に準備はありません。

検査

一般的なレントゲン検査と変わりません。
貴金属類を外して(ブラジャーなどの下着にホックやワイヤーなど金具がある場合は外します)検査着に着替え、レントゲン技師の指示に従ってレントゲン撮影をします。

肺X線検査を受けた感想

いろはママいろはママ

X線検査はレントゲン検査なので数分撮影するだけであっと言う間に終わっちゃった。
他のがん検診と比べると一番ラクな検査でしたね。

肺X線検査(胸部レントゲン)

検査時間:2~3分程度

対象部位:胸部

対象となる病気:肺炎、肺結核、肺がんなど

対象費用:1,000~3,000円(個人検診の場合)

重要度:

場合によって行われる検査

喀痰細胞診

喀痰細胞診では、肺門部(肺の入り口)にできたがんを痰の細胞診で発見します。
肺がんの30%は喀痰細胞診検査で発見されています。集団検診の場合は、ハイリスク群に属する人が対象になります。

肺がんは、がん細胞が痰の中にこぼれ落ちることがあるので、痰を調べてがん細胞を検出します。
3日分、できれば早朝に採取した痰を顕微鏡で細胞を調べ、肺や気管支の異常を見つけ出します。

デメリットは肺がんにかかっていても痰の中にがん細胞が発見されないこともあり、喀痰検査の結果が正常でも肺がんではないと言い切れない点です。

市販の検査キットの場合、自宅で検査が可能です。ただし、3日分送るうちに痰が変性し、正確な値がでないこともあります。

喀痰細胞診の検査方法

事前に渡される容器に早朝の痰を3日間にわたって採取します。
採取後医療機関に提出します

喀痰細胞診を受けた感想

まことパパまことパパ

3日分の痰を取るだけだから簡単。自宅でできて病院に提出するだけ。
僕はタバコを吸うから、検査を受けるのが怖かったけど、痰を取るだけだったらもっと早く検査しておけばよかったな。

喀痰細胞診

検査時間:3日分の痰を採取

対象部位:胸部

対象となる病気:肺がん、咽頭がん、喉頭がんなど

対象費用:3,000~5,000円(個人検診の場合)

重要度:

胸部CT検査

肺X線検査で肺に影があるなど異常がみられた場合は胸部CT検査が行われます。

胸部CT検査は肺X線検査で見つからないような小さながんを発見することができます。がんの確定診断には必要な検査です。

らせん状にX線撮影をし、胸を輪切りにした断層写真を撮影し、画像を解析して肺や気管支の異常を診断します。

肺X線検査は複数の組織が重なっている場所などでがんを見落とすことがありますが、胸部CT検査は連続断面を画像化するので見落としがなく、がんの大きさや性質、周辺の臓器への広がりなど、多くの情報を得ることができます。

人間ドックでの肺がん検診でははじめからコースに入っていることが多くあります。

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人間ドックで受けられる検査

PET検査

全身の細胞の中からがん細胞だけにマーキングを行う検査法。全身のがん細胞を一度でチェックできます。
放射性ブドウ糖液を注射し、その取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出します。
がんの進行具合もおおむねわかります。なお、肺がんは他の病気と区別がつきにくい場合があり、初期の肺がんは発見しにくいといわれています。

PET検査

検査時間:20~30分程度

対象部位:全身

対象となる病気:各種がん

対象費用:100,000~150,000円(個人検診の場合)

重要度:

精密検査

気管支鏡検査(内視鏡)

喀痰検査や胸部X線検査やCT検査などでがんが疑われる場合、気管支鏡検査(内視鏡)を行います。

ファイバースコープという細い管を口から挿入して、気管や肺の内部を観察します。
異常が発見されたら、その部分の細胞や組織を採取します。これを顕微鏡で調べてがんかどうかを確定します。
血痰や咳など異常が疑われる時も行われます。

気管支鏡検査(内視鏡)

検査時間:30~60分程度

対象部位:胸部

対象となる病気:肺がん、気管支がん、肺炎など

対象費用:30,000~50,000円(個人検診の場合)

重要度:

他の肺がん確定検査

喀痰細胞診や気管支鏡検査でも診断ができない場合や、病巣が肺の末端にあり、気管支鏡が届かないようなときは経皮的肺穿刺を行ないます。
CTで確認しながら局所麻酔をして皮膚の上から細い針を刺して肺の細胞を採取します。

胸に水が溜まっている場合には、胸水を採取してがん細胞を含んでいるかを調べる胸水穿刺細胞診が行われます。

他にもがんが疑われる病変から組織の一部を採取する検査は、肺や胸膜やリンパ節の組織の一部を採って調べる全身麻酔が必要なものもあります。

 

まとめ

 

肺がん検診

死亡率の高い肺がんですが、市区町村の肺がん検診は基本肺X線検査のみです。
喫煙習慣のある人は喀痰細胞診を受けましょう。

肺X線検査は肺がん検診ではメジャーな検査方法ですが、肺は複数の組織が重なっている場所なのでがんを見落としてしまうこともあります。

その反面、胸部CTは連続断面を画像化するので見落としにくく信頼度が高く、大概人間ドックのコースに含まれています。
検査精度からみてもCT検査はおすすめです。特に喫煙習慣のある人はぜひ受けておきましょう。

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※まことパパといろはママの検診の感想は個人の感想です。

監修者紹介

 

監修のドクター
この記事の監修

医療法人花仁会 秩父病院 外科部長

大野哲郎先生

専門は消化器・一般外科。平成12年群馬大学卒。医学博士。米国外科学会フェロー(FACS)。群馬大学大学院助教等を経て、平成25年に故郷である秩父市に戻り、秩父病院に赴任。腹腔鏡手術、上部下部内視鏡検査、早期癌に対する内視鏡治療、各種抗がん剤治療等に力を入れ、地域病院においても最新かつ最良な医療を提供できるよう日々努力を続けている。

参考文献・サイト

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