この記事は現役医師監修のもと、架空のキャラクターのさつき先生が、がん検診を受けてみようとお考えのあなたにわかりやすく癌や検査方法について解説しています。

 

こんにちは!サクラソウ病院医師の若葉さつきです。

乳がん検診最近ではTVで活躍する芸能人が乳がんをカミングアウトされ、その影響で乳がん検診を受ける人が増えているそうです。
でもその現象は一過性で、話題性がなくなるとまた検診から足が遠のいてしまっています。

乳がんは女性が最も罹りやすいがんです。
その数は年々増えており、生涯で11人に1人がかかる計算になります。

しかし、乳がんの進行はゆっくりなので、罹患率に対して死亡率は低くなっています。
乳がんは早期発見・治療をすれば命に影響を及ぼさずにすむケースが多いのです。

ここでは乳がんとはどういうがんなのか?乳がん検診の流れやどういう検査をするのか?などくわしく解説していきますね♪

ではっ!

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女性が最もかかりやすいがん。40~50歳代に多いがん

乳がんとは、乳房にできるがんです。

乳房は母乳を分泌する乳腺とそれを支える脂肪から構成されています。
乳腺は母乳をつくる小葉と小葉をつなぎ母乳を運ぶ乳管からできています。

乳がんの細胞はその乳腺の組織に発生し、増殖していきます。
乳がんの90%は乳管に発生する「乳管がん」で、小葉に発生する「小葉がん」は5~10%程度です。

比較的進行がゆるやかで治しやすい

乳がんは女性がかかりやすいがんで、女性のがん罹患率で第一位のがんです。
2012年には約74000人が新たにがんと診断されています。

女性で一生涯で乳がんに罹患する確率は11人に1人と言われており、年々増加傾向にあります。

● 罹患数の多い部位別のがん(2012年)

  1位 2位 3位 4位 5位
女性 乳房 大腸 子宮
男女計 大腸 乳房 前立腺

出典:国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』

乳がんは30代後半から急激に増加し、40代後半にピークを迎えます。
さらに閉経後の60代前半に次のピークを迎えますが、その後罹患率は低下します。
40歳代から50歳代の女性に多いのが特徴です。

乳がんで亡くなる女性の割合も年々増加傾向で、この40年で死者数が5倍にまで膨れ上がり、年間約1万3,000人が亡くなっています。
これは乳がんを発症した人の30%程度にあたります。

しかし、乳がんは女性のがんの罹患数で第1位ですが、死亡数は第5位です。

● 死亡数の多い部位別のがん(2014年)

  1位 2位 3位 4位 5位
女性 大腸 膵臓 乳房
男女計 大腸 膵臓 肝臓

出典::国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』

この結果から乳がんはかかりやすい癌ですが、早期のうちに発見・治療をすれば命を落とす確率は低いがんというのがわかります。

乳がんはほかのがんにくらべると進行はゆるやかで、1cmのかたまりになるのに7年かかると言われています。
定期的に検査を受け、さらに自分でも日常的に乳房をチェックしていれば早期発見は可能です。

乳がん検診の流れ

乳がん検診の流れ

乳がん検診は、問診・視触診に加えてマンモグラフィ・超音波検査を併用します。
自治体の乳がん検診(対策型検診)では視触診とマンモグラフィのみを行うことが多いです。
(全国的に視触診を実施する医療機関は減少傾向です。)

自治体によっては超音波検査とマンモグラフィとで受けられる年齢が違うこともあります。

乳がん検診でがんが疑われたら、細胞診、組織診へと進みます。ここでがんの確定診断が行われます。
乳がんと診断されたら、治療方法を決めるための検査としてMRI、CT検査を行ないます。

ただし、マンモグラフィで要検査判定になっても、実際に悪性腫瘍が見つかる人は全体の0.3%といわれています。
要検査と診断されても怖がらず、すみやかに精密検査を受けるようにしましょう。

自治体がん検診VS人間ドック どっちがいいの?比較表

乳がん検診は格安で受けられる市区町村のがん検診の「対策型検診」と個人で受ける人間ドックの「任意型検診」があります。

「対策型検診」は特定の年代に発症が多く、早期発見による治療が確立しているがんを検診の対象としています。

一方、「任意型検診」は自分で希望するがんの検診をカスタマイズして受けられるのが特徴です。

乳がん検診 自治体がん検診・人間ドック比較表

  自治体がん検診 人間ドック
対象年齢 40歳以上の女性 何歳でも検査可
検査項目 問診、視診、触診、X線検査(マンモグラフィ) 問診、マンモグラフィ、超音波検査。レディースドックであれば乳がん検査と子宮がん検査を同時に受けられる。
受診間隔 2年に1回 特に決まりなし
検査費用 乳房X線検査のみ 1,291円、視触診+乳房X線検査 1,619円(自己負担額。市区町村平均) 視触診+マンモグラフィ 4,000~8,000円、視触診+超音波検査 3,000~6,000円 視触診+マンモグラフィ+超音波検査 7,000~12,000円
メリット・デメリット 検診料は0~数千円と格安
検査項目が少ないので短時間で済む
× 検査項目が限られている
× 対象年齢にならないと検査が受けられない
× 検査結果が約1か月後と時間がかかる
× マンモグラフィを設置している病院をさがさなくてはいけない

多彩な検査が行なえる
年齢や回数に制限がない
その日のうちにある程度検査結果がわかる
食生活や運動などアドバイスが受けられる
ほとんどがマンモグラフィを設置している。レディースドックであれば、子宮がん検診と同時にできる
女性技師やキッズスペースがある病院が選べ、女性にやさしい
× 自治体検診と比べ費用が高額

 

自治体がん検診では胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんの5つで、費用は無料の場合もあり圧倒的に安く受けられます。しかし、家系や体質などでがんのリスクが高いと考える場合は、検査項目が豊富な人間ドックで検査するほうが無難です。
自治体検診で女性特有のがん検診を受ける時は、婦人科や産婦人科にかかるため複数の専門機関に出向かなければなりません。
レディースドックは乳がん検診と子宮頸がん検診がパックになっているので、ひとつの医療機関で受けられます。手間と時間の節約にもなります。


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乳がん検診の主な検査と費用

自治体で実施される乳がん検診は一般的には問診、視触診、マンモグラフィ、または超音波検査を行ないます。
40歳以上の女性が対象で、受診頻度は2年に1回となっています。

視診

乳房を観察して、形状(左右の乳房の大きさの違い・乳頭の変形)や皮膚の変化(皮膚の陥没・乳房の皮膚に赤みや発疹があるか)を調べます。

触診

指で乳房やわきの下のリンパ節などに触れて、がんが疑われるしこりがあるかどうか調べます。
しこりがある場合、しこりの性質(硬さ・動き方・大きさ・形・個数・押して痛むところはないかなど)も調べます。

マンモグラフィ(乳房X腺撮影)


マンモグラフィとは、病変の位置や広がりを調べる、乳腺専用のX線検査です。

しこりになる前のごく早期の乳がん(石灰化)を発見することも可能で、触診では見つけられない小さなしこりや、しこりを伴わない乳がんの早期診断に用いられます。

乳がん以外の乳房の病気(乳腺繊維腺腫(良性腫瘍)、乳腺症など)の有無も判明できます。

乳腺における一部の石灰化は乳がんによっておこるといわれています。

※石灰化とは、カルシウムやマグネシウムなどの成分が結晶化したもので、肺や腎臓など体の様々な部位で発生します。

マンモグラフィの撮影方法

2枚の板に挟んで圧迫し乳房を薄い状態にして、胸の上下と斜め方向の2方向を撮影します。
(※ 自治体検診では50歳以上は基本1方向です。)

乳房を挟んで圧迫するため多少の痛みが伴いますが、検査時間は10分ほどでガマンできないような痛みではありません。
月経前は乳房が張っているので、月経後に検査を受けるとよいでしょう。

マンモグラフィ(乳房X腺撮影)

検査時間:30分

対象部位:乳房

対象となる病気:乳がん

対象費用:3,000~5,000円(個人検診の場合)

重要度:

超音波(エコー)検査


超音波検査(エコー)は乳房内の病変の有無、しこりの性状や大きさ、わきの下など周囲のリンパ節への転移の有無を調べる検査です。

高い周波数の音波を乳房にあて、超音波反射の反応波(エコー)を画像化し確認します。
乳房にジェルを塗り、プローブと呼ばれる機械を滑らせて検査を行ないます。

痛みもなく体への負担はありません。
X線のように被ばくがないので、妊娠中や妊娠の疑いがある人でも受けられます。

超音波検査(乳腺エコー)

検査時間:15分

対象部位:乳房

対象となる病気:乳がん、乳腺症など

対象費用:3,000~5,000円(個人検診の場合)

重要度:

20~30代は乳がん検診よりセルフチェックが大事?!

乳がんの罹患数が増える40歳からでしたら乳がん検診を受けるメリットは大きいですが、発症する人が少ない20、30歳代の人が検査を受けることはあまりおすすめしません。
検診は不利益になることもあるからです。

検診によるデメリットとは、がんが100%見つかるわけではないこと、結果的に不要な治療や結果を招くこと、検査にともなう偶発症の問題、そして受診者の心理的影響などです。

自治体による乳がん検診では40歳以上が対象となっています。乳がんの発症リスクが高まる35歳から受けるべきだという意見もありますが、あまりにも早い年代から検診を開始したり、頻度を増やすことは推奨されていません。
むやみに受診せず、適切な年齢・頻度を守りましょう。

ただし20.30代の女性でも家族性・遺伝性乳がんの可能性のある人は定期健診を受けることをおすすめします。

乳腺の発達している若い女性のマンモグラフィの撮影画像は全体的に白っぽく映り、病変が存在しても見つかりにくいことがあります。

そのため閉経前の女性はマンモグラフィよりも小さなしこりを発見できる超音波検査が有効だといわれています。

閉経後の女性は乳腺が脂肪に変わっていき全体が黒く映るので、白く映るがんが見つけやすくなるためマンモグラフィ検査が有効です。

このように、年齢や検査によっても最適な検査方法は違ってきます。
頻繁に受診すればいいということではありません。

大事なのは、年齢にかかわらずセルフチェックをして、自分で乳房を観察してチェックする習慣をもつことです。
乳がんの60%以上はセルフチェックによって発見されています。

>>乳がんのセルフチェック方法

>>マンモグラフィと超音波検査の詳しい説明はこちらから

検診でがんの疑いが見つかった感想

いろはママいろはママ

私の場合、マンモグラフィでいびつの石灰化を発見しました。
ちなみに超音波検査では異常なしでした。
マンモグラフィは石灰化を見つけることが得意、超音波検査はしこりを見つけることが得意。
それぞれ特長が異なるので40歳からは併用して検査することをおすすめします

人間ドックで受けられる検査

PET検査

放射性ブドウ糖液を注射し、その取り込みの分布を撮影することで全身のがん細胞を検出するのがPET検査です。
ほかの検査で転移・再発の診断が確定できない場合に行うことがあります。

PET検査で見つけられるがん細胞よりもさらに小さい細胞を見つけることが可能な「PEM検査」というPET検査を乳がん専用に開発しなおした検査もあります。

全身用のPET検査では5mm程度までの病変に優れていますが、PEM検査では1.5mmの小さな病変にまで力を発揮します。

検査費用は18~21万円(保険適応外)検査機関は日本に数える程度しかありません。
こちらの病院でPEM検査が受けられます。

外苑東クリニック 乳がん特定健診

PET検査

検査時間:20~30分程度

対象部位:全身

対象となる病気:各種がん

対象費用:100,000~150,000円(個人検診の場合)

重要度:



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精密検査

マンモグラフィや超音波検査で乳がんの疑いが出た場合、しこりの細胞や組織を採取して調べる病理検査を行ないます。

組織を採る「組織診」でがんの確定診断をします。それと同時にどのような性質の乳がんかどうかも調べることができます。

組織診、細胞診で乳がんと確定されたら、治療に進む前にMRI検査やCT検査を行ないます。

組織診

組織診は乳がんの確定診断に用いられる検査です。
しこりから組織を採取して病理検査をします。

太い針で病変の一部を切り取って採取することができるので、良性か悪性かの識別だけでなく、悪性の場合そのがんの性質、悪性度なども調べることができます。

しこりがある場合は、しこりから組織を採取して検査します。マンモグラフィや超音波で石灰化やしこりの位置を確認しながら行うのが一般的です。

マンモグラフィで確認しながら行うマンモトーム生検はまだしこりになっていない石灰化の段階の組織を調べることができます。

>> 組織診(マンモトールマンモトーム生検)の検査レポ

細胞診

細胞診は、しこりのあるところに注射針を刺して、細胞を採取して、良性か悪性かを識別する検査です。
針を刺すときに多少の痛みはあるが、麻酔をする必要はなく、体への負担はほとんどありません。
細胞診だけではがんの判別は難しく、あとで判定が変わることもあります。

>> 細胞診の検査レポ

がんの確定診断後に病巣の広がりを調べるために、MRIやCT検査をします。

MRI

MRI検査は大きな磁場を使って体のあらゆる角度から撮影し、診断を行います。
ガドリニウムという造影剤を血管内に注射して検査します。

乳房MRIは腫瘍の大きさ、数、位置、浸潤の程度、時にはリンパ節への転移を見極め、乳房の切除範囲を決めるのに役立ちます。

>> MRIの検査レポ

CT

リンパ節転移の他、脳や骨、肝臓などほかの臓器に転移していないかなどを調べます。(リンパ節への転移についてのはっきりした診断はセンリネルリンパ生検で判断)

精密検査でがんが見つかった感想

いろはママいろはママ

組織診(マンモトーム生検)で組織を取り、石灰化が悪性のものだと発覚しました。
後日MRIで石灰化の広がりを診断。石灰化が広範囲であるため、乳房の奥にある疑わしき石灰化を細胞診で採取。後日悪性だと判明、病変が広範囲であったため乳房全摘となりました。。
精密検査は乳がんの確定診断と、病巣の広がりを調べるために行われます。
乳がん検診は、がんの疑いがあるかどうかを調べるだけで、がんかどうかは精密検査で判明します。

まとめ

 

乳がん検診

乳がんは女性が最もかかりやすい癌で、罹患数は年々増えています。

しかし、がんの中でも死亡率は低く、進行はゆるやかなので、セルフチェックや検診で早期発見・治療をすれば治りやすい病気です。

視触診だけでは不安が残ります。マンモグラフィや超音波検査を併用しましょう。
20,30歳代の人で近親者にがん患者がいる場合は検診を受けておきましょう。


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監修者紹介

 

監修のドクター
この記事の監修

医療法人花仁会 秩父病院 外科部長

大野哲郎先生

専門は消化器・一般外科。平成12年群馬大学卒。医学博士。米国外科学会フェロー(FACS)。群馬大学大学院助教等を経て、平成25年に故郷である秩父市に戻り、秩父病院に赴任。腹腔鏡手術、上部下部内視鏡検査、早期癌に対する内視鏡治療、各種抗がん剤治療等に力を入れ、地域病院においても最新かつ最良な医療を提供できるよう日々努力を続けている。

参考文献・サイト

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