前立腺がん検診前立腺がん「高齢者のがん」ともいわれ、罹患者の約半数は70歳以上です。
他の病気で亡くなる人の中で実は前立腺がんにかかっていたということもあります。

もし寿命で亡くなるのであれば検査なんて受けなくでもいいのでは?と考えてしまいますが、前立腺がんを放っておくと、夜中に何度もトイレにいくほか背骨や腰に激しい痛みが襲いかかってきます。

初期の前立腺がんは症状がほとんどありません。無症状にうちに検査を受けてことがとっても大事なのです。

前立腺がん検診はたった5分。しかもとっても簡単!

前立腺がん検診を受けようか迷っているあなたに、前立腺がんとはどういうがんなのか?前立腺がん検診の流れやどういう検査をするのか?などくわしく解説していきます。

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2020年には男性がんトップの罹患数に?!

前立腺は、男性の精液の一部をつくる男性だけに備わっている生殖器です。
膀胱の真下で直腸の前に位置し、栗の実の形をした臓器です。

前立腺がんは、この前立腺の細胞が何らかの原因で無秩序に増殖を繰り返す疾患です。
がん細胞の増殖には男性ホルモンが大きく影響しています。


進行は比較的ゆっくりですが、骨への転移が最も多くなっています。

他の臓器への転移がなく骨に転移することがめずらしくはありません。
腰痛や四肢の痛みなどで骨の検査をした時発見されることがあります。
次いでリンパ節への転移が多くなっています。

初期症状はほとんどありません。
症状があるとしたら前立腺肥大症のような排尿障害や下腹部の不快感ですが、症状が出たころにはがんが進行していると考えてよいでしょう。

前立腺がんの罹患率は男性で胃、大腸、肺に続き第4位となっています。(2012年)
罹患者数は1990年では8.000人程度でしたが、2020年には10万人を超え、胃がんを抜いて男性がんのトップになると予測されています。

● 前立腺がん罹患者数 将来予測

がん罹患数の将来予測・男性(1990-2029年)
※2015-2019年、2020-2024年、2025-2029年は5年間の将来推計罹患数の平均値です。
参照:国立がん研究センター がん情報サービス がん登録・統計

前立腺がんにかかる人は65歳以上の高齢者に多く、約半数は70歳以上です。
80歳以上では20%前後の人に前立腺がんが認められているといわれています。

比較的進行がゆっくりのため、前立腺がんと気づかないうちに他の病気で亡くなることもよくあります。

前立腺がんの罹患率は全がん中4位ですが、死亡率は6位です。この結果からもほかの癌と比べて進行がゆっくりということがわかります。

しかし、罹患数の急増に伴って死亡数も確実に増えています。

前立腺がんは早期で見つかり治療をすれば治りやすいがんですが、転移した場合根治がきわめて難しく、治療の選択肢が限られてしまい、転移癌の半数の人は5年以内に死亡しています。

前立腺がんは転移が起こる前にがんを発見し、治療につなげることが大事です。
そのためにもがん検診を受ける意義は非常に大きいのです。

前立腺がん検診の流れ

前立腺がん検診の流れ

前立腺がん検診は一次スクリーニング検査としてPSA検査(腫瘍マーカー)を行ないます。
PSA検査は血液中にある特異なタンパク質の一種「PSA」の数値を測定します。
採血のみの検査なので簡単に済む検査です。

PSA値が基準値より高い値が示されたら、二次スクリーニング検査に進みます。
二次検査では直腸診、超音波検査、MRI検査を行ないます。

二次検査で前立腺がんの疑いがある場合、がん細胞を切り取り顕微鏡で調べる「前立腺生検検査」を行ないがんの確定診断と具体的ながんの広がりや悪性度や遺伝情報などを調べます。

前立腺がん検診はどこで受ける?検診の費用は?

国では前立腺がん検診は対策型検診として勧めていません。
しかし、自治体によっては集団検診の項目に入っていることもあるので、お住まいの自治体で確認しましょう。

前立腺がんはPSA検査で初期に発見できれば、死亡することはほとんどないといわれています。
50歳を過ぎたら是非PSA検査を受けましょう。

なお、かかりつけ医や人間ドックのオプションなどで受けることはできますが、自覚症状がない検診目的の場合は自費診療となります。

人間ドックを受ける機会がある、もしくは血縁者に前立腺がん患者がいる場合は、40歳から定期的に検査をしましょう。

前立腺がん 自治体がん検診・人間ドック比較表

  自治体がん検診 人間ドック
対象年齢 50歳以上の男性
※お住まいの自治体で確認しましょう。
特にきまりはないが、40歳以上の男性は受けておきましょう。
(特に家族に前立腺がんに罹患経歴がある場合)
検査項目 問診、PSA検査 人間ドックの基本検査に前立腺がん検査、腹部超音波(腹部エコー)や骨盤MRI検査などが加わる。内容は医療機関によって様々。
受診間隔 50歳以上は年に1度がおすすめ
検査費用 無料もしくは500~2,000円くらい(自己負担額) 人間ドックのオプションの場合、2.000~3.000円
人間ドック+前立腺がん検査の場合4万~6万円
メリット・デメリット 検診料は0~数千円と格安
採血のみで短時間で済む
× 対象年齢にならないと検査が受けられない
× 自治体のがん検診に含まれていないことが多い
多彩な検査が行なえる
メンズドックの場合男性に多い病気を一日でチェックできる
年齢や回数に制限がない
食生活や運動などアドバイスが受けられる
× 自治体検診と比べ費用が高額

どんな人がメンズドックを受けたらいいの?

メンズドックとは、通常の人間ドックの検査項目に腫瘍マーカー(PSA)が追加されているプランのことをいいます。
初期の前立腺がんには自覚症状がありません。45歳を超えたら検査を受けておきましょう。

前立腺がんの代表的な症状は「排尿障害」です。
夜間トイレのために起きてしまう、尿切れが悪い、家族にがんになった人がいる場合は検査を受けましょう。

排尿障害は高齢者に非常に多い症状です。
前立腺肥大症でも同じ症状が出るので、検査をしてがんかどうか判別する意味でも受診しておきましょう。



前立腺がん検診の主な検査と費用

前立腺がんの可能性がある人を見つけるための「スクリーニング検査」を行ないます。

一次スクリーニングとして採血のみの「PSA検査」を行ない、二次スクリーニング検査として「直腸内触診」「超音波(エコー)検査」「前立腺MRI検査」があります。

これらのスクリーニング検査によってがんが疑われた場合、がんの確定診断として「前立腺生検」を行ないます。

なお、診断の流れや検査の順序は医療機関によっても異なります。

PSA検査(腫瘍マーカー)

PSA検査(腫瘍マーカー)は前立腺がんのスクリーニング検査です。

採血のみの検査で、血液中のたんぱく質の一種(PSA)の数値を測定し、その数値により状態を判定します。

一般的に正常値は0~4ng/mlで、4ng/mlを超えている場合は精密検査に進みます。

PSAとは前立腺上皮から分泌されるタンパク分解酵素を指します。
正常であれば、PSAは精液中に分泌されますが、前立腺がんに罹るとPSAが血液中に混じります。

PSAの値が高いほど、前立腺がんの可能性は高くなります。まれに正常値でも前立腺がんが発見されることがあります。

ただし、PSA値が4ng/mlより高いと判定を受けた約3/4(75%)の人には、前立腺がんはありません。
前立腺に炎症がある、前立腺肥大症の場合も高い値がでることがあります。

PSA検査は血液を調べるだけでがんの有無や進行度などの推測、治療法の効果の判定、がんの再発を発見する目安なる画期的な検査法です。

一般的な前立腺がん検診は50歳以上の男性が対象ですが、家族に前立腺がん患者がいる人は40歳になったら信頼できる泌尿器科専門医のいる医療機関で受診してください。

PSA検査(腫瘍マーカー)を受けた感想

きよじいきよじい

家族がしつこく検診を受けろっていうもんだから、痛ぇことするんだったら医者に文句言ってやるつもりで受けたんだが、血を採るだけですぐ終わっちまったよ。
こんくらいだったら早く受けとけばよかったなぁ。

PSA検査(腫瘍マーカー)

検査時間:5分程度(採血)

対象部位:前立腺

対象となる病気:前立腺がん、前立腺肥大症

対象費用:2,000~4,000円(個人検診の場合)

重要度:

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直腸診

直腸診は、肛門から指を挿入して直腸の壁越しに前立腺の状態を確認する検査です。

前立腺の大きさや硬さ、前立腺表面の凸凹、触れると痛みがあるかなどを数秒のうちに触診します。
痔がある人は事前に伝えておきましょう。

超音波検査

超音波を発する器具(プロープ)を肛門から挿入して超音波の反響を利用して。画像で前立腺の内部を調べる検査です。

がんがある場合、がんが黒い影として映し出されます。
前立腺の形が左右対称でない場合はがんが疑われます。

前立腺MRI検査

従来のMRI検査ではT2強調画像を基本していましたが、最新のMRIでは拡散強調画像、ダイナミック造影像などで同時に撮影することによって総合的にがん細胞をとらえることが可能になり、がんの早期発見に役立っています。

最近ではMRI画像を超音波画像に取り込み、生検を行なうことも可能になりました。

下腹部MRI

検査時間:30分

対象部位:前立腺

対象となる病気:前立腺がん

対象費用:25,000~35,000円(個人検診の場合)

確定診断

PSA検査などでがんの疑いが出た時は、がん細胞を切り取り顕微鏡で調べる前立腺生検を行ないます。

前立腺生検

精密検査で前立腺がんが疑われる場合、前立腺の組織を採取して顕微鏡で調べます。
6~20か所以上から組織を採取する方法(系統的生検)が多く行われます。

生検ではがん細胞があるかないか、がん細胞があればどのくらいの悪性度なのかを調べます。

PSA検査での値が基準値を超えている人、直腸診で前立腺にかたい部分がふれる人、超音波検査でがんの疑いがある人が対象です。

まとめ

 

前立腺がん検診

前立腺がんは高齢者に多いがんで、70歳以上が最も罹患者が多くなります。
 
人口の高齢化とともに、前立腺がんにかかる人は増え続け、2020年には男性のがんの中でトップになるだろうと予測されています。
特に家族に前立腺がん患者がいる場合は40歳になったら注意しましょう。
 
前立腺がんは初期症状がほとんどないため、初期で見つけるためには検診で見つけることが有効ですが、自治体がん検診には前立腺がん検診は含まれていないことが多く、検診を受けるには自費診療となります。
 
前立腺がん検診では一次スクリーニング検査としてPSA検査を行ないます。
PSA検査は血液検査です。血液を採取するだけの簡単な検査です。
ただ、自治体のがん検診で実施していない場合、自費診察となります。
 
前立腺がん検診を定期的に受けると前立腺の死亡リスクを4割減少できるという報告もあります。
お住まいの自治体のがん検診で前立腺がん検診があるかを確認し、実施していなければ人間ドックや医療機関での受診をおすすめします。
 
メンズドックのような通常の人間ドックに男性特有の前立腺疾患を調べる検査をセットにしたプランもあります。
この機会にぜひ検査を受けておきましょう。

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※きよじいの検診の感想は個人の感想です。

監修者紹介

 

監修のドクター
この記事の監修

医療法人花仁会 秩父病院 外科部長

大野哲郎先生

専門は消化器・一般外科。平成12年群馬大学卒。医学博士。米国外科学会フェロー(FACS)。群馬大学大学院助教等を経て、平成25年に故郷である秩父市に戻り、秩父病院に赴任。腹腔鏡手術、上部下部内視鏡検査、早期癌に対する内視鏡治療、各種抗がん剤治療等に力を入れ、地域病院においても最新かつ最良な医療を提供できるよう日々努力を続けている。

参考文献・サイト

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