さつき先生 がん検診の受診率日本国内のがん検診の受診率は何パーセントだと思いますか?

ちなみに私の周りでは残念ながら、会社の健康診断以外では個人的に受けている人はあまりいません。逆に検診ってどうなの?と聞かれるほどです。

日本人のがん検診の受診率は41%です。
(胃・大腸・肺・子宮頸・乳がん検診の平均値)

世界からみるとこの数字はかなり低い数字で、欧米では乳がん、子宮頸がん検診の受診率が約70%以上なのに対して、日本は欧米の半数にとどまっているんです。

そして18歳以上で一度もがん検診を受けたことのない人は33.4%もいます!

「がん検診を受けてない人って多いじゃん」
「私は健康だし忙しいから受けなくてもいいよねー」

なんて楽天的に考えていませんか?

しかし、がんはサイレントキラー。自覚症状がでてきたころにはかなり症状が進んでしまっているのです。
早期で見つかり治療を開始すれば、5年後に生存している可能性は高くなるというデータもあります。

今回はがん検診の受診率と海外との比較、年代別受診率、がん検診を受けたくない理由についてのアンケート結果からがん検診の重要性をお話ししたいと思います。


 

がん検診を受けている人は4割未満、日本は米国の約半分

日本のがん検診の受診率は、男性では胃がん、肺がん、大腸がん検診の受診率は4割台程度で、女性の30%代に比べて高くなっています。

● がん検診の受診率

がん検診受診率

出典:平成25年厚生労働省「国民生活基礎調査」
※胃がん、肺がん、乳がん、大腸がんは40歳以上、子宮頸がんは20歳以上を対象。
※子宮頸がん検診と乳がん検診は、「2年に1度」の受診が勧奨されているため、平成24年と平成25年の検診受診者数の合計に基づく検診受診率です。

女性は乳がん、子宮頸がん検診を含めた5つのがん検診の受診率は30~40%代となっています。
5つのがん検診の平均受診率は41%と低い数字となっています。

では世界から見る日本のがん検診受診率はどうでしょう?

2013年の女性の子宮頸がん検診の国際比較では、米国が85%、イギリス75%、韓国が68.7%であるのに対し、日本は37.7%と低い数字になっています。

子宮頸がん・乳がん検診受診率 国際比較

● 女性の子宮がん検診受診割合(2013年)

「20~69歳子宮頸がん受診割合 国際比較(2013年)」アメリカ85%、イギリス68.5%、オランダ66.1%、オーストラリア56.8%、ニュージーランド75%、韓国68.7%、日本37.7%

乳がん検診におけるマンモグラフィ検査の受診率の国際比較でも、オランダ82.1%、米国80.4%に対し日本は36.4%とかなり低い数字になっています。

● 女性のマンモグラフィ検診受診割合(2013年)

「50-69歳 マンモグラフィ検診受診割合 国際比較(2013年)」アメリカ80.4%、イギリス72.6%、オランダ82.1%、オーストラリア55%、ニュージーランド71.0%、韓国74.1%、日本36.4%

この受診率はOECD(経済協力開発機構)加盟国35カ国(2016年現在)の中で最低レベルにあります。

なぜ米国はなぜ受診率が高いのでしょうか?

米国では、医療保険会社が主導し検診費用を全額無料にしたり、検診を受けることで保険料の割引をするなどの特典を付けて、がん検診を勧奨しています。

米政府も1970年代から国を挙げてのがん撲滅への地道な取り組みによって、90年代前半からがんによる死亡が22%減少しました。
これは約150万人のアメリカ国民ががん死から逃れた計算になります。

一方、日本では平均寿命が世界トップで、医療技術の高さ・医療設備が整っているにもかかわらず、がんで死亡する数は増え続けています。

受診率の低さの原因の一つに、日本人は自分の身体に異常を感じてから病院に行く人が多く、海外に比べて「予防医療」に対する意識が低いことが考えられています。

3割の人が「がん検診を受けたことがない」

年代別のがん検診受診状況を見ると、日本人の半数強ががん検診を2年以内に受診したと回答。

最後に受診したのが2年前より前の人が1割強、がん検診を一度も受診したことが無い人は全体の1/3もいます。

● がん検診受診状況(2016年11月)

がん検診 受診状況 2016年

出典:2017年1月内閣府発表の世論調査

「今までがん検診を受けたことはない」と答えた者の割合は18~29歳では78.5%、30歳代で51.8%と40歳未満で未受診率が高くなっています。

40代以降の未受診率は軒並み20%代後半で、がんリスクが高くなる40歳以降の未受診率は若い世代に比べて低くなっています。

がん検診を受けない理由は「時間がないから」がトップ

東京都八王子市の40~60歳の女性と対象にした「受診したがん検診の数と種類」の調査によると、がん検診を受診したことがない市民は約6割で、2種類が14%、1種類が14%で1~4種類だけ受けている人が39%。
5つのがん検診全て受けている人は全体の2%しかいませんでした。

● 受診したがん検診の数と種類

「受診したがん検診の数と種類」受診なし59%、1種類12%、2種類14%、3種類7%、4種類6%、5種類2%

さつき先生

全てのがん検診を受けている人は、全体のたった2%!

出典:「今すぐできる 受診率向上施策ハンドブック」

では、なぜこんなにもがん検診を受ける人が少ないのでしょうか?

がん検診を受けない人の理由では「受ける時間がないから」が30.6%でトップ。

僅差で「健康状態に自信があり,必要性を感じないから」が29.8%。
以下「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」(23.7%)、「費用がかかり経済的にも負担になるから」(15.9%)の順となっています。

● がん検診を受けない理由

「がん検診を受けない理由」受ける時間がないから30.6%、健康状態に自信があり、必要性を感じないから29.2%、心配なときはいつでも医療機関を受診できるから23.7%、費用がかかり経済的にも負担になるから15.9%、がんであると分かるのが怖いから11.7%、うっかり受診するのを忘れてしまっているから8.2%、検査に伴う苦痛に不安があるから7.6%、がん検診そのものを知らないから6.5%、受ける場所が不便だから5.8%、がん検診を受けても、見落としがあると思っているから5.8%、その他7.6%

出典:平成28年度 内閣府 がん対策に関する世論調査 より(複数回答あり)

男女別でみると、男性では「費用がかかり経済的にも負担になるから」という回答が女性に比べて多くなっています。

年齢別でみると、30歳代から50歳代では「受ける時間がないから」、40代では「費用がかかり経済的にも負担になるから」
60.70代では、「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」、70歳以上では「健康状態に自信があり,必要性を感じないから」という回答が目立っています。

1位の「受ける時間がないから」という理由は、がん検診を受けるには最低でも半日かかってしまうので、仕事を持っている場合わざわざ会社を休まなくてはならない、という時間の制約がある点が考えられます。
小さいお子さんがいる家庭では預け先をどうするかという問題にもぶつかります。

市区町村のがん検診の場合、よほどの大病院でなければ複数の医療機関で受診しなければなりません。
女性は男性の3がん検診に加えて乳がん検診と子宮頸がん検診があるため、最低2日間は予定を空ける必要があります。

2位の「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」3位の「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」という理由ですが、前出の日本人の「予防医療」に対する意識の低さが関係しているように思えます。
症状が出たら医療機関に受診をするという考え方です。

しかしがんは、初期では自覚症状がありません。
症状が出るころにはかなり病気が進行してしまっているケースは多いです。

治療が開始したタイミングが早いほど5年後に生存している確率が高いという統計が出ているように、早期に発見して治療することは非常に重要です。

「費用がかかり経済的にも負担になるから」という理由ですが、自治体のがん検診であれば、大概5,000円以下で受けられます。
国では一定の年齢の方を対象に、子宮頸がん・乳がん・大腸がんの「がん検診無料クーポン」を配布しています。

まとめ

 

がん検診の受診率

がん検診の受診率は4割を切っています。これは海外に比べて圧倒的に低い数字です。
受診率の低さは、症状がでたら受診をするという「予防医療への意識の低さ」が根底にあります。

しかし、がんは自覚症状がでたころにはかなり進行しています。
自覚症状のないがんは検診で見つける以外方法はありません。

がん検診を受けてほしい理由。それは、

「症状がないうちであれば根治が望める可能性が高い」

からです。

一般的に年齢を重ねるほどがんの発症率は高くなります。
症状が出る前に検診は必ず受けましょう。

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